笹倉玄照堂の作務衣を一枚一枚縫う、温かい手
笹倉玄照堂の作務衣は、機械で大量に作れるものではなく、一枚一枚人の手で縫われている。そんな作務衣づくりを支えている職人さんの一人が、堀フミエさん。熊野古道のほど近く、歴史情緒あふれる町で作務衣は縫われている。
しっかりした縫製で、度重なる洗濯にも耐える作務衣
玄照堂の作務衣は、洗えば洗うほどに味の出る藍染の布なので、藍の落ち具合を楽しんでもらうためには、ご家庭の洗濯機で何度も洗えることが大前提。そこで、多少乱暴な扱いをしても作務衣の生地がほつれないよう、しっかりした縫製が求められる。そのほつれ防止の技が、「巻二重縫い」だ。一度裏から縫った後、ひっくり返して裁ち目を覆うように布を巻き込んで縫う。裁ち目が外に出ていないから、洗濯や激しい動きにも耐えられるという縫い方。 襟を正すための作務衣への工夫
くつろいでいるとき…、庭仕事をしているとき…、買い物に行くとき…、作務衣は着るシーンを選ばない。 「ちょっとしたことだけどね、仕上げにここが肝心なのよ」と、チョキチョキはさみを動かし、小さな布を用意する堀さん。それは、脇の切り込み部分につける力布だ。数センチ四方の布を縫いつけることで、脇からほつれてくるのを防ぐ。外からは見えない小さな布に、着る人への心配りが感じられる。
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