着るほどになじむ
心からくつろげる日常着といえば、作務衣(さむえ)にとどめを刺すのではないだろうか。
もともと禅寺などで僧侶が掃除や農作業をする際に着るものなので、体をしめつけずゆったりとした着心地。それなのに、どこか毅然とした風格がある。家の中だけでなく、近所への買い物やお茶を飲みにいくときもさまになるから、ついつい袖を通す機会が増える。かつて検査入院したときも重宝した。ひもで合わせる前開きなので、医師が診察しやすかったのだ。
これまでいくつか作務衣を試してきたが、深い藍色の美しさと、丁寧な縫製から生まれる耐久性から、大阪にある笹倉玄照堂製に行き着いた。江戸期の手つむぎ藍木綿を徹底的に研究。糸づくりから始め、手触り肌触りも当時のままに復刻したという。
この冬おすすめなのが、この藍色紺無地作務衣No15056。保温性を高めるために、太めの糸をほどよく織り交ぜて生地を厚めにした。加えて、洗い加工を施してあるので、おろし立てから肌触りが気持ちいい。
さらに楽しみなのが、繰り返し洗ううちに生まれる、いい具合の色落ち。着続けるほどに生地も体になじむ。一生モノの日常着となるだろう。
(文・東海左由留) |